[着物でお出かけ] 北鎌倉の古民家で辿る、日本の自然布の物語「自然布展」へ
先日、静かな北鎌倉を散策し、風情豊かな北鎌倉古民家ミュージアムを訪れました。
この建物は、築100年以上を経た古民家を移築・再生した美術館です。 福井県にあった古民家と板倉、横浜市磯子区の古い料亭の計3棟を合体して造られました。 内装や調度品からも、長い時が育んだ歴史と静かな趣が感じられる空間となっています。
「自然布展」が開催されていて、日本の多種多様な自然布について、深く学ぶことができました。 芭蕉布、大麻布、苧麻布、アットウシなど、北から南まで、数多くの自然布が展示されています。
猟師さんや船頭さんが着ていた「樹皮衣<アットウシ>」。 オヒョウやシナ、ハルニレなどの樹木の内皮からとった繊維で作られています。
私が目を惹かれたのは、苧麻布の着物。
上布に施された刺繍が美しく、なんとも贅沢で優雅。 色合いが好みで、見ているだけで心が癒される作品でした。
大麻布の狂言装束。 大胆に配置された牡丹から力強さを感じます。
また、同時開催の「ぜんまい手紡ぎ織菊池星女展」も見学。 野草のぜんまいの新芽の綿毛を、繭や綿と混ぜて糸に紡ぎ、草木で染める技法です。
菊池星女さんが、長野県蓼科の山麓で10年かけて織り上げた作品が展示されています。 薄茶の天然色をベースとした素朴な色合いの中に、大人の女性らしい上品さが漂っていました。
ぜんまいの綿毛も展示されていました。
蓼科に自生する草木で染めた糸。
柳皮・山桜皮・よもぎ・たんぽぽ・すすきなど、温かみのある色合いが美しい。
日本の自然の恵みと、静かに針と糸を動かした先人の想いを感じ、より深く和の美意識に触れることができました。 駅からも近いので、ぜひ、行ってみてくださいね。
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「自然布展」
「ぜんまい手紡ぎ織 菊池星女展」
開催期間:2025.11.27(木)~2026.1.12(月)
公式サイト→ https://www.kominka-museum.com/exhibition/shizenfu_2025/
北鎌倉古民家ミュージアム
神奈川県鎌倉市山ノ内392-1
JR横須賀線「北鎌倉駅」徒歩2分









