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変わりゆく”好きな着物”―これまでの「着たい着物」の変遷④

昨年あたりに、大きな変化として感じたのが「モノトーンの着物が着たい」という感情です。

着物を始めたばかりの頃は、黒やグレーといったモノトーンの着物は「ちょっと地味かも」「暗くなっちゃう」「コーデがうまくきまらない」と感じ、あまり積極的に着てはいませんでした。

でも、少しずつ着物の魅力に触れるにつれ、「モノトーンの着物のきりっとした格好良さ」に惹かれていきました。

特に昨年あたりは、「黒い着物でゴシックな装いがしたい!」という気持ちが高まり、コーディネートを調べたり、実際に黒い着物を買おうか悩んだりしていました。

ゴシックな要素は「着物にスカートをあわせる」「黒地に華やかな柄の着物を着る」といった部分で考えていたのですが、だんだんゴシックなスタイリングよりも「黒い着物」そのものに魅力を感じ始めました。

色の数や柄をどんどん盛っていくのではなく、引き算をした先にあらわれる「シルエットの美しさ」や「生地の質感」、「キリリと引き締まった雰囲気」を楽しむ……そういうスタイリングが大人っぽくて素敵だと感じるようになったのです。

実際に、黒の浴衣を着てみたことも心境の変化につながりました。

それまで浴衣といえば「ポップな色柄」で夏の楽しさを表現するものというイメージがあったのですが、あえて黒の浴衣にシンプルなモノトーンの小物をあわせることで、浴衣(着物)本来の粋な美しさや気品が強調されたように感じたのです。

結局、黒の浴衣は「夏に着るには紫外線で暑く感じてしまう」という理由で手放してしまったのですが、それ以来、ふつふつと「黒い着物でコーディネートを楽しみたい」という気持ちが湧いてきました。

着物をモノトーンでシックにまとめることで、着物ならではのインパクトの強さ(あえて表現するなら「悪目立ち」しそうな雰囲気)が緩和されるという学びもありました。

考えてみれば、街中で全身黒やモノトーンのコーディネートの人に出会うと、服の印象よりも「全体的に素敵な雰囲気だな」「大人っぽくて格好良い人だな」と、その人全体の印象が強く残る気がします。

モノトーンの着物の底力を知って以来、私の中で心惹かれる着物は「モノトーン」や「洗練」という方向に切り替わっていきました。