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【3000万点の着物を「資産」へ】という記事を読んで思ったこと

先日、「日本に眠る3000万点の着物を“資産”として活用する」
という記事を読みました。

率直に言って、とても良い記事でした。

着物を
「処分すべき過去」ではなく
「循環させるべき文化資産」として捉え直している点に、
強く共感しました。

同時に、読み終えたあと、
こんなことも考えたのです。

この話は、着物“だけ”の話で終わらせてはいけないな、と。

 

記事が示してくれた、大事な視点

記事が伝えている一番の価値は、
「着物が売れない」という表層ではなく、

  • ・眠っている
  • ・活用されていない
  • ・価値の翻訳がされていない

 

という「構造そのもの」に光を当てた点だと思います。

これは、
着物業界全体にとって、とても重要な視点です。

だからこそ私は、
その延長線上に、もう一つ問いを足したくなりました。

 

着物だけじゃなく、図案も眠っていないか?

多くの呉服店や産地には、

  • ・昔の図案帳
  • ・下絵
  • ・採用されなかった柄
  • ・作家の走り書きのような意匠

 

が、当たり前のように眠っています。

でもそれらはたいてい、

  • 売り物じゃない
  • 今の流行じゃない
  • 使い道がない

という理由で、
存在しないものとして扱われている。

私はここに、
着物以上に手つかずな資産があると感じています。

 

IT業界の感覚で見ると、図案は「IP」そのもの

ITやコンテンツの世界では、

一度生まれたデザインや構想は
何度でも使える“知的資産”

という考え方が当たり前です。

図案も同じです。

  • ・仕立てなくてもいい
  • ・着物でなくてもいい
  • ・国内市場に限らなくていい

 

図案は、用途を変えた瞬間に市場が広がる。

 

図案を「着物以外」に翻訳すると見える可能性

① ファッション・雑貨への横展開

洋服、バッグ、スカーフ、インテリア。
柄としての魅力は、着物でなくても成立します。

② デジタル資産としての再生

Web、パッケージ、海外向けグラフィック。
在庫も劣化もなく、国境を越えられる。

③ 「誰が描いたか」が価値になる

作家、時代、背景。
図案は人の痕跡を残した文化データです。

 

あらためて思ったこと

あの記事は、
「着物をどう活かすか」という
とても大切な第一歩を示してくれました。

そして私は思います。

その次のステップとして、
図案という“軽くて、強い資産”にも
目を向けるべき時期に来ている。

着物は重い。
管理も、流通も、覚悟がいる。

でも図案は、

  • ・小さく始められて
  • ・失敗しても戻れて
  • ・次世代に渡しやすい

 

未来向きの資産です。

 

最初の一歩は、評価ではなく「把握」

売る必要も、
公開する必要もありません。

  • ・箱を開ける
  • ・写真を撮る
  • ・並べてみる

 

それだけで、
図案は「過去」から「資産」に変わります。

 

着物も、図案も、同じ問いの中にある

参考にした記事が投げかけたのは、

「私たちは、持っている価値を
ちゃんと見ているだろうか?」

という問いだったと思います。

その問いは、
着物だけでなく、
図案にも、技術にも、記憶にも向けられる。

眠っている価値を、
未来に渡せる形にする。

その話を、
そろそろ本気で始めるタイミングなのかもしれません。

 

参考記事:3000万点の着物を「資産」へ 大分発・クラフトマンシップの文化循環経済

 

キモノプラス編集長:久野 雄治