[着物でお出かけ] 今年のお能はじめは「天下泰平・国土安穏」を祈って
今年のお能はじめは、「翁(おきな)」を楽しみました。
「翁」は「能にして能にあらず」と別格に扱われている演目です。天下泰平・国土安穏を祈祷する神事とされ、物語のようなものはありません。歴史も古く、もともとは「式三番」と呼ばれた祝言曲で、鎌倉時代からお正月や祝い事の場で演じられています。
舞台は、しめ縄で結界が張り、開演直前に火打ち石で清められ、いつもと違う雰囲気に、観客側も身が引き締まります。揚幕があがると、面箱持ちを先頭に演者たちがうやうやしく登場。華やかな能装束に身を包んだ能楽師の方々が一段と格好良く見え、目が釘付けでした。
「とうとうたらり…」という不思議な呪文に始まり、颯爽とした千歳の舞、悠々とした翁の舞、笛や太鼓の激しい音色、能面の付け外しのタイミング、最後の鈴を持った三番叟の舞どれも目が離せず、全てが見どころです。
珍しく一度も眠くならずに引き込まれたにもかかわらず、何度も観たい演目です。コーディネートは、控えめな付け下げ着物に、松竹梅が入った縁起の良い笹蔓緞子柄の袋帯。
座った時に絵羽模様が視界に入ると非日常を感じ気分が上がります。
ご来場の方、会場スタッフの方も華やかなお着物の方が多く、新年の喜びを感じて一日を過ごすことができました。